2007.8.31

『エディプス・コンプレックス論争』

こんにちは。早く夏よ終われと願い続けています。モトです。

今日紹介するのは、私が卒業論文に使えるかな……
と期待して借りてきた一冊です。
その名も
『エディプス・コンプレックス論争 性をめぐる精神分析史』妙木浩之著(講談社 2002.3)


タチバナの学生で、野村先生(近現代文学の先生です)の授業をとったことのある人は、
この『エディプス・コンプレックス』という言葉に聞き覚えがあると思います。


これはオーストリアのフロイトという、有名な精神分析学者が考え出した概念です。
夢診断が好きな人は、どこかで聞いたことがあるかもしれません。

一応、本文中から簡単に抜き出しますと、エディプス・コンプレックスとは

『知らず知らずのうち父親を殺して母親と性交する、
ギリシャ神話に登場するオイディプスにちなんだものである。
フロイトはこれを母親と一緒にいたい、
でも父親がいると邪魔なので殺してしまいたいという
人間のもっている普遍的な願望』

であると言っています。
……難しいですね(笑)

とても乱暴に言ってしまえば、男は皆マザコンである。ということです。

野村先生は、この話を使って物語を解説することがあります。
文学の研究では、登場人物の感情や行動を読み解くために、
心理学や文化人類学など様々な分野の知識を参考にするのです。

もし橘に入学して、先生の授業を受ける機会があったら、
いつこれが出てくるか、是非わくわくしていてください(笑)
もっと面白く、噛み砕いて教えてくれると思います。

話を戻しますが、この本は
『エディプス・コンプレックスという概念をめぐって、
精神分析の歴史のなかで、あるいは周辺でおこなわれた論争を中心に』
書かれています。
エディプス・コンプレックスがどう歴史的に変化してきたのかを、知ることができます。

私は野村先生から(私は野村先生のゼミに所属しています)
卒業論文にこの考えを盛り込んだらどうかとアドバイスされていたので、
様々な流れの中での捉えられ方がわかって、よかったです。


また、この本には様々な精神活動への見解が書かれているので、
今はやりの心の病を考える視点を多く得ることができました。

この本はエディプス・コンプレックスとは少し外れても、
様々な関係者の考えも書いてあるので、パラパラと斜め読みしていれば、
どこかで自分と一番近い考えの人が見つかるかもしれません。


私もアドラーという人の話に一番興味を持ちました。
競争関係による、兄弟の生まれた順についての考えがおもしろかったので、
抜粋します。


「最初に生まれた子どもは、(中略)過度に法や秩序を重視して、
『力を求める保守的な態度』をとろうとする。(中略)

第二子は、長子よりも社交的で、いつも上の子にキャッチアップするために、
努力しなければならないのでやんちゃである。
彼はいつも長子を超えるように努力していくため、
他人に服従するのに我慢ならない。

さらにもっと小さい末っ子は、他者に脅かされることなく、
怠け者になって甘やかされやすい」


どうでしょう?
みなさんは自分の立場に合っていましたか?
ちなみに私は長女ですが、確かに保守的な面があります(笑)

さて、野村ゼミに行こうと思っている方、
フロイトに興味がある方は是非、この本で知識を増やしてみてはどうでしょうか。

もちろん、国文や心理学以外にも、
医療や教育などいろいろな分野でフロイトの理論は登場します。
ぜひ注目してみてください。

投稿者 モト

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