研究室探訪

竹山 清明 研究室


竹山 清明 教授
都市環境デザイン学科

『サステイナブルな
住宅・建築デザイン
新しい空間創造の方法』
発行/日本経済評論社
定価/3,360円 270頁
2009年3月発行

著書『サステイナブルな住宅・建築デザイン』の内容について具体的にお聞かせください

 なぜ、日本の都市は街並みが美しくないのかということが問題意識としてありました。街並みを形成する建築や住宅は、実にさまざまなものがありますが、日本では建物が短期的な消費になっていて、安物を建ててはすぐ壊す、スクラップ&ビルドが繰り返しされてきました。そうして建てられた建物は、デザインや材料の質も低いので、残したい建物ではないのですね。
  では、欧米のような美しい街並みや質のよい住宅、デザインをつくるためにはどうすればいいかを考えなければなりません。街並みを形成する主体の市民がどういう街や建物に住みたいかを調べることにより、これからの望ましい住宅の建築様式を探り、改善するための本です。
  また、この本は一般の人が読んでもわかりやすい本にしました。

執筆の動機・きっかけは何ですか?

 今まで、まともに建築デザインを分析した本がありませんでした。現在の大学の建築教育は、コンセプチュアルといって、人とは違うアイデアによる建築のデザインや計画を評価する傾向にあり、いわゆるびっくり建築だけを教える現状です。そこに住む人が幸せに暮らせるための住宅や景観を考えての建築教育ではないのです。構造がしっかりしていて、使う人にとって魅力的であり(使いやすいプランニングでデザインがよい)、かつ長期的にも大事にされて残るデザインをしなくてはいけないと思ったことがきっかけです。

本学の学生に望むことを教えてください

 建築の役割はとても大きく、街の空間の助産師さんであり、お医者さんなのです。街や住宅をつくるなど、ものをつくるのは楽しいし、それが仕事になると幸せだと思います。美しい街並みやよい住宅をつくる専門家になってほしいですね。
  都市環境デザイン学科では、人々が一番接することの多い、戸建て住宅を中心に教えていこうと考えています。よい住宅をつくるためには、それに応えられる設計の力量が必要になります。出発点となる思想やデザイン力をつけること、技術的な修練をし、地に足をつけてよい仕事ができる学生を育てたいですね。

今後の研究課題として、何を考えられていますか

 日本には、戸建て住宅に関わる建築設計事務所や工務店がたくさんあります。小さくてまじめな工務店が、よい住宅をつくれる条件を探り、それを実践する方法を研究していきたいですね。

京都橘大学キャンパスの印象はどうですか?

 キャンパスはモダニズムの建物ですが、嫌味はありませんね。レンガの色もそろえられていて感じよく造られていると思います。普通、モダニズムは人々の好む方向でのデザイン性が浅いのですが、この大学のキャンパスは地味ながら快適になるように工夫されていますね。広場などもあり、勉強する人のことを考えて造られていると思います。