土田純子さん
現在の仕事内容を教えてください。
高麗大学校考古美術史学科で准教授として勤務しています。教養科目で「日本文化の起源」、学部専攻科目で「日本考古学」、大学院で「東洋考古学特講」を学生に教えています(2013年1学期のシラバス)。日本関連の講義をすることが多いので、日本の文化や歴史について初めて本格的に勉強する学生でも理解しやすいよう努めています。また、学生のレベルに合わせた講義も心がけています。教養科目は経営学部、体育学部など文学部以外の学生も聴講します。そのため、図や写真などを活用して飽きさせない工夫をしています。専攻科目や大学院では、専攻に関する基本的な知識の伝達はもちろん、考える力を育成できる講義ができればと思っています。
なぜこの仕事を志したのですか?
もともとは、国立忠南大学校百済研究所で研究員として働いてきました。論文などの研究成果や、韓国語の力が認められ、2008年から国立忠南大学校考古学科や高麗大学校考古美術史学科などで非常勤講師として働くようになり、今回、縁あって高麗大学校考古美術史学科に勤務することになったのです。
やりがいは何ですか?
学生たちに「授業が楽しい、ためになった」と言われると、やりがいを感じます。教養科目では最初に日本の都道府県や地方名から教えます。日本の歴史や文化を教えるためにも、日本地図を覚えないと、どこで何が起こったか頭で描けないと思うからです。ある学生が、「日本地図を覚えたおかげで、韓国で知り合った日本人の出身地を地方名で言うことができ、話が盛り上がった」と言ってくれたことがありました。私の授業が、そうした1つのきっかけとなったことをうれしく思いました。
どんな大学時代を過ごされたのですか?
私は文化財学科(現・歴史遺産学科)が、1997年に新設された年に入学した1期生でした。同期には韓国、中国、台湾、香港の留学生が約10名在籍していたため、彼女たちと一緒に勉強したり話をする機会が多くありました。そのこともあり、韓国語の勉強を一生懸命しました。大学での韓国語の授業だけでなく、韓国語の論文の翻訳を、辞書を引きながら行ったりしていましたね。論文1ページを翻訳するのに、3時間くらいかかったこともありました。また、夏休み中に猪熊兼勝先生(本学名誉教授)のご紹介で平城京大極殿跡の発掘に携わりました。現在そこに、大極殿が復元されているのは、感慨深いです。
卒論はどんなことをテーマにしたのですか?
卒論のテーマは「日本国家形成期における楽浪の影響」です。朝鮮半島の文献を入手するのに一番苦労しました。京都橘の図書館は他大学所蔵図書の閲覧にも協力的で、閲覧依頼の紹介状を発行してもらうことができ、論文を完成させることができました。
百済土器の編年
についての博士論文
今後の展望や目標を教えてください。
今後は、研究者としてもっと研究領域を広げて行きたいと思っています。今年の2月に提出した博士論文は百済土器の編年について研究をしたものでした。これからは土器の編年を基に、百済の領域範囲や領域化過程の変容などを研究したいと思います。
学生のみなさんへのメッセージ
大学時代は、何か一つのことに打ち込み、他の人にない自分だけの強みを育成することが重要だと思います。