研究室探訪話題の教授にインタビュー

野村幸一郎研究室

かわいい自分には旅をさせろ!

Q どんな研究をしていますか?

 元々は日本の近代文学で森鷗外の研究をしていました。文学者というのはノイローゼになったり、人生を間違える人が多いんです。そういう人の話ばかり読んでいるとその世界に引き込まれてしまって、自分もそんな気持ちになってくる。しかし、森鷗外は本を書く傍ら医者で軍人、政治家もやっていてバランス感覚がある。最近はいろいろ手を出していますが、森鴎外の研究者として僕の学者生活はスタートしました。
 それと並行して京アニ(京都アニメーション)についての論文も今、書いています。私事ですが、子育てが始まって、子どもが朝から晩まで「となりのトトロ」を観るんですよ。それを一緒に観ながら、論文を書かないといけない。でも子守りをしないと嫁さんに怒られる…と思ったときに「これ(となりのトトロ)で書けばいいのではないか!!」と気づき、宮崎駿の本を書きました。それが今年第三版までいきました(笑)。それがきっかけで、日本の近代文学をやりながら、疲れると現実逃避のようにアニメの世界で論文を書いています。

Q 休日の過ごし方や趣味は?

 休日も研究や論文の執筆、本の編集をしています。趣味としては、最近は語学学習にはまってますね。1年間台湾にいたことから、中国語の勉強を続けています。今年、マレーシア旅行に行く前に、マレーシア語の本を買ってきて勉強しました。現地に行ったときに少しでも話せたら楽しくなると思ったからです。いくつかフレーズを覚えていったのですが、一番使った言葉は「テリマカシ」(ありがとう)でした。英語で「Thank you」と言っても反応してくれなかったのですが、「テリマカシ」と言うと、とてもうれしそうににっこりとうなずいてくれました。
 それと、山登りも好きですね。始めたのは20歳の頃で、体力づくりが一つのきっかけでした。北アルプス、中央アルプスの有名な山は、だいたい登ってしまいました。最近では楽しみや体力づくりのためだけに山に登るのではなく、昔の人の山に対する信仰や歴史、文化などを感じるために山に登ることが多いですね。ぜひ、語学学習も山登りも楽しいのでやってみてください。

Q 学生に伝えたいこと

 今の学生は僕が学生だった頃に比べて大変だと思います。何が大変かというと、昔は「かわいい子には旅をさせろ」だったのに、今は「かわいい子だから旅をさせない」という時代になってしまったからです。つまり、大学を卒業するまでは閉鎖された理想郷のなかにいて、卒業すると突然社会に放り出されてしまう。結果的に会社に入ってからとてもつらい生活が待っていることになる。それを防ぐには「自分で自分に負荷をかける」しかありません。たとえば「4年間で10カ国まわる」と目標を決めて旅をするなど、学生の間に卒業後の社会を生き抜けるタフさを身につけることが必要ではないかと思います。

(2016年度取材)

インタビュアー たちばなブログスタッフ

写真左から

大山 朱音 さん
文学部 日本語日本文学科3回生
山岡 祐斗 さん
人間発達学部 児童教育学科3回生
古澤 優太 さん
文学部 歴史学科2回生
文学部
日本語日本文学科
野村 幸一郎 教授